聞いたことのないメーカーですが、これが日本初上陸になります。格安なスマホはこれまでにもちらほら存在していましたが、果たしてそれらをしのぐ魅力があるのでしょうか。詳しくレビューしていきます。
サイズは頃合いの5インチモデル
Tommyは、5インチ液晶を搭載する頃合いの大きさのモデルです。手にしても持ちやすく、また重量もホドホドです。
サイズ:146×71.5×8.8 mm 重さ:165g
実際に手にしてみると、大きさは持ちやすいのですが、最近の中・高級モデルと比較すると、やや古めかしいパーツ構成になっています。 例えば、HUAWEI P9は、145×70.9×6.95ミリ(144g)と一回り小さなボディですが、ディスプレイは5.2インチとやや大きくなっています。最近は本体に対して、画面サイズをできる限り大きくする構成が主流になっているのです。それらのモデルと比べるとTommyはやや古めかしいスタイルと言えるでしょう。 ただし、画面サイズは5インチもあれば十分に使いやすいという人も多いでしょう。また、ポケットへの収まりなどは問題ありません。
ポップなカラーが物欲をそそる
背面のポップなカラーが魅力的 本体は全6色を用意していますが、日本では最初に3色が発売されています。今回は「ブリーン」と呼ばれ、イメージカラーとなっているミントグリーンのモデルを撮影しました。 スマホとしてはかなり派手な印象ですが、それがこの製品の特徴でもあります。背面と側面は樹脂製のカバーですが、ソフトな手触りが非常によく、また見た目にも安っぽさはあまり感じません。若干チープに感じるとすれば、液晶のカドがアールを描いていないタイプで、フチをメッキパーツが囲んでいることでしょう。 派手なカラーは好みが分かれるところです。スマホに詳しくない人数名に見せたところ、「オモチャっぽい」という声と、「オシャレでかわいい」とう意見に二分されました。 本体カラーには地味な「トゥルー・ブラック」も用意されています。フランスらしいデザインの特徴はそがれてしまいますが、落ち着いたカラーなので仕事でも問題なく利用できるでしょう。なお、トゥルーブラックとフラッシュレッドは皮っぽいシボ仕上げになっています。
パッケージもフランスっぽいデザインが施されている Tommyは、高級感を感じることはできませんが、安物っぽくはありません。ファストファッション好きで、手ごろな価格でも自分好みの素敵な服を選ぶような人なら、デザインにはきっと満足できることでしょう。 今後、6色すべてが揃えば、色に魅力を感じて購入する人も増えそうです。個人的には、ブリーンもとてもよい色だと思います。会社でスマホが支給されている人は、自分用に手に入れてもわかりやすくていいでしょう。
液晶の暗さが残念
右のHUAWEI P9と比べると液晶がやや暗く感じる ディスプレイは、前記のように5インチで解像度は1280×720ドットです。一昔前の超格安スマホは、もっと低い解像度でした。 例えば、フリーテルの「Priori3 LTE」は、4.5インチで854×480ドットです。価格は1万2800円と手頃ですが、さすがに写真を表示するとざらついて感じるでしょう。また、文字のキレもいまいちです。
同じ画面を表示すると違いが明らかにわかる(右:HUAWEI P9) Tommyの解像度なら、まあなんとか納得できるはずです。ちなみに、フリーテルにも1万4800円で1280×720ドットの新モデル「Priori4」が登場しています。 Tommyは、解像度こそ妥当ですが、暗さが少々気になります。輝度を最高に上げても、やや暗く感じるので、明るい屋外では見づらいこともありそうです。また、IPS液晶なので視野角は広いのですが、斜めから見るとやや暗さが増します。中・高級モデルとは明らかに差がある部分なので、購入する際には実物をチェックして違いを把握しておきましょう。
画面を斜めから見ると、明るさやくっきり感に大きな差がある(右:HUAWEI P9)
最低限の性能が評価の分かれ目
本体は高級感はないもののデザインがよく物欲をそそりますし、液晶は暗いのが欠点ですが解像度は納得。ここまでは、価格をかなえれば妥協できるのですが、微妙な判断になるのが性能です。 CPUは格安スマホ向けのSnapdragon Cortax A7を採用しています。いろいろと操作をしてみましたが、メニューを開いたりブラウザーを使うだけでもややもっさりと感じます。ベンチマークを計測してみると、最近のモデルでは相当に性能が低いことがわかりました。この性能では、メインで使うスマホとしては、少々力不足でしょう。2台目の購入にお勧めします。もしくは、ブラウザーとSNSの利用程度に割り切って使うなら、しばらくは問題ないでしょう。どちらにしろ、3年以上現役で使うのは無理がありそうです。
AnTuTuベンチマークで計測してみたが、最近のモデルとしてはかなり性能が低い ストレージも16GBしかないので、microSDカードによる増設が必要になりそうです。すでにカードを持っているなら問題ありませんが、これから大容量のカードを購入するとなると、その分のコストがかさむのでよく検討したいところです。
デュアルSIMだがDSDSには非対応
SIMのセットは背面のカバーを外して行います。最近はピンを使ってスロットを取り出す方式が増えているので、やや古めかしく感じます。サイズはmicroSIMですが、nanoSIM用の変換アダプタが同梱されています。とはいえ、最近は圧倒的にnanoSIMが増えているので、新製品は、できる限りnanoSIMに統一して欲しいところです。
SIMは2枚挿せる。また、microSDカードの増設が可能 SIMスロットは2つ用意されていますが、2つのSIMで待ち受けができるDSDSには対応していません。スマホとケータイの2台持ちを、DSDSで解消したい人には、残念ながら対象にはなりません。 なお、Bandは、1/3/8/18/19に対応しているのでドコモ系の格安SIMで使うなら問題ありません。
電源コネクターはmicroUSB。最近はUSB-C端子のモデルも増えているが、今持っているケーブルを活用したいなら、こちらのほうが向いている
カメラ機能はちょっと物足りない
カメラは800万画素です。スナップ写真を撮影するなら、解像度はまあ妥協できるスペックでしょう。また、インカメラは500万画素です。 iPhone 7 Plusと写真を比較してみましたが、残念ながらそれなりに差があります。明るい屋外での撮影なら、Tommyでも満足できると感じる人は多いでしょう。ところが、暗いシーンでの撮影では、ノイズが多すぎるために解像感に乏しく感じるでしょう。花などのディテールが潰れてしまいます。スナップ写真は暗い場所で撮るケースがおおいので、写真好きの方は留意してください。 インカメラは、画面を左にスワイプしてメニューを開かないと切り替えられないのがちょっと不便です。また、ビデオが720pまでしか撮影できないのも物足りないところです。
明るい屋外で撮影。色合いなどはTommyが劣るが、妥協できるレベル(左がiPhone 7 Plus)
花を近くから撮ると、Tommyでも十分に満足できる。iPhone 7 Plus(左)は背景がぼけている
暗い室内で撮影すると、Tommyは窓の白トビが激しい(左がiPhone 7 Plus)
かなり暗い室内で撮影すると、色合いや解像感などすべてでiPhone 7 Plus(左)に劣っている。Tommyの画質は平均以下だ
まとめ
1万4800円という価格を考慮すれば、Tommyは、十分にお買い得なスマートフォンと言えます。しかし、初心者にはあまりお勧めできません。指紋センサー、防水、ワンセグ、おサイフケータイ、NFCなど付加的な機能は、どれも搭載していませんし、カメラの画質にも妥協が必要です。 性能が低いので、ヘビーなゲームをプレイするのは厳しいケースも出てきそうです。試しに、アスファルト8という3Dレーシングゲームをテストしてみましたが、読み込みがやや遅いものの普通にプレイできました。高性能モデルと比べると動きが遅いことを理解しつつ、1〜2年程度割り切って使うなら、価格以上の満足感を得られるでしょう。
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一番わかりやすい「格安SIM」の選び方 4つの重要ポイント 構成・文:戸田覚 編集:アプリオ編集部