NHN Japan執行役員の舛田淳氏 7月24日、スマートフォンやソーシャルメディア等をテーマにしたイベント「モバイル&ソーシャルWEEK 2012」(主催:日経BP社)が行われた。 「コミュニケーションツールからプラットフォームへ。新たな『LINE』の戦略とその可能性」という内容で講演したNHN Japan執行役員の舛田淳氏は、LINEを開発した経緯や成功したポイント等について言及した。 転機は、2011年の3月11日に発生した東日本大震災だった。 被災地以外でも、電話やメールが使えなくなった。舛田氏も家族と連絡が取れなかった。舛田氏の家族はSkypeやViber等を使えるほどPCに詳しくなかったため、連絡に適したツールがなかった。舛田氏は、そういった状況を見た時に、目の前の課題を解決しなければいけないと思い、LINEの構想を考えたという。 それから1.5カ月で開発を終え、 6月23日にスマホで使えるグループメッセンジャーとしてアプリをリリースした。当初は無料通話や無料メッセージ、スタンプ機能はなかった。 その後、1年でLINEのユーザー数は4500万人に達し、国内で2000万人を超えるユーザーを獲得。ほぼ100%スマホユーザーというのが特徴だ。 講演で舛田氏は、LINEが成功したポイントを挙げた。 一つ目のポイントは、タイミング。爆発的に成長しているスマートフォンという分野に、最適なサービスを出せたのがポイントだったと振り返る。 二つ目のポイントは、スマートフォンだけを考えてアプリを作ったこと。 PCとスマホでは、様々な面で違いがある。 PC向けのサービスをスマホ向けに置き換えた場合、設計等が複雑になってしまい、シンプルに操作できるというスマホらしさがなくなってしまう。 また、ユーザーの満足度を考えると、PCで成功しているサービスでは、スマホ向けだからといって機能等を削るのは難しい。 スマホで利用することを前提に作られた結果、操作が簡単なアプリを開発することができた。 三つ目のポイントは、グループごとにコミュニケーションを交わせること。 高校の同級生と社会人になってから出会った友だちとでは接し方が違うように、人は様々な顔を持つ。しかし、すべての人に同じように情報を発するSNSでは、どうしてもフォーマルな会話になってしまう。それはおかしいだろう、という考えが舛田氏にあった。 LINEの特徴は、リアルな関係同士が、リアルタイムで、リアルな話を交わすこと。そのコンセプトが多くのユーザーに受け入れられた。スタンプが支持されているのも、大切な人達と会話するうえで、感情を表現しやすくなるためだ。 LINEは7月3日のカンファレンスで発表したように、コミュニケーションツールからプラットフォームへと変わろうとしている。また、アプリの新たなバージョンではSNS機能が強化され、「ホーム」と「タイムライン」機能が追加される。 舛田氏によれば、新バージョンの開発は既に終わっており、現在はAppleの審査待ちだという。Android版も、近日中にリリースされるだろう。 最後に舛田氏は構想段階としながらも、スタンプ等を公共団体に低価格で提供することを考えていると語った。また、可能性として、ユーザーがスタンプを作成し、販売していくこともあってもいいのではないかと話していた。どちらもアイデアの段階だが、スタンプ等のサービスには様々な可能性がある。LINEの将来を垣間見た気がした。
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January 11, 2023 · 1 min · 24 words · Brent Patrick