サービスポリシーと言えば、法律の条文の羅列のような文体で事実上ユーザの誰も読むことはない、そんな性格の文章だったはずだ。ところがこのGoogleのものは読める。中身を解釈できるかはともかく、ちゃんと読み通すことができる。そこには”できる限りわかりやすい説明を目指しております”とも記されており、明確に一般ユーザを意識していた。そういう時代だということだろう。 で、その内容はというと、要するに60以上あるGoogleの各サービスで同じルールを使って皆さまの個人情報を管理します、ということだ。これが意味するところはどういうことなのか……正直、なかなか具体的なイメージは湧かなかった。例えば友人とGメールでイタリア旅行の予定をやりとりしてGoogleカレンダーに入力などしていると、WebサイトのGoogle AdSense広告やGoogleニュースにイタリアの情報が出てきたり為替レートが表示されたりするのだろうか。あるいは移動当日に成田エクスプレスのダイヤが乱れるようなことがあればアラート通知してくれるとか、頼みもしないのにGoogleマップで出国ゲートまでの移動経路を教えてくれるとか、そういうことかしら。いずれにせよ大事なことは、私たちの生活に大きな変化が起きるだろうということだ。これが良いのか悪いのか今のところ筆者には評価し難い。 ただアメリカでの動きは早かった。Google Public Policy Blog(Googleの公式ブログ)によると、1月26日付で議員8名から説明を求められている。そして同30日付で回答されたものがこちら。プライバシーは引き続き保護されるし、Googleダッシュボードを使って各ユーザでコントロールもできる、としている。両者のこの対応の早さと公開性はさすがだ。 検索市場がGoogleの独占状態にあるヨーロッパはどうかというと、調べてみたらやはり動きがあった。Article 29 Working PartyというEU加盟国の情報保護担当部局を代表する実行部会が2月1日から2日にかけて行った会議の結果がプレスリリースにより公開されている。それによると、Googleに対して新規約適用の延期を求め、フランスDPA(Data Protection Authority)のCNIL(The Commission nationale de l’informatique et des libertés)という委員会が調査に乗り出すことを通知したということだ。これに対しGoogleからは同3日付で回答されており、ここでも引き続きユーザのプライバシーは守られることが強調されている。 1ユーザとしては黙って受け入れるしかないようにも思えたこの規約変更だが、情報とはとりもなおさず権力であるわけだから、冷静に考えるとちゃんと注視する必要があるということを改めて感じた。Androidスマートフォンを使っている場合、電話番号は重複しないから実質的に個人IDを1つの外資企業に掌握されている状態に他ならないわけだ。趣味・嗜好はもちろん、下手をすると悩み事や性癖まで知られているだろう。 統合されるプライバシーポリシーは3月1日からの発効が予告されている。また動きがあった際は随時Appllioでお伝えしていきたい。 ※Googleの新しいポリシーについての参考リンク
よくある質問と用語集 現時点で適用されているプライバシーポリシー Googleダッシュボード
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