Excel(エクセル)は仕事には欠かせないアプリです。見積書や計算書だけでなく、最近では住所録や仕様表などもExcelで作るケースが少なくありません。メールで送られてきたExcelファイルは、できればスマホやタブレットでも活用できると嬉しい限り。外出先でも書類をチェックしたり編集したりすることもできます。 もちろん、ほぼすべてのスマホとタブレットでExcelが使えますが、パソコンに比べると快適さが劣ります。そこで今回は、スマホやタブレットで少しでも快適にExcelを使う方法を紹介します。

Excelを使えるデバイス

ExcelはiPhone、iPad、Androidスマートフォン、Androidタブレットそれぞれにインストールすることで利用可能です。 基本的には、10.1インチ以下のデバイスでは無料で使えることになっています。10.2〜12.9インチのiPad Proは無料では利用できません。ただし、Office 365のサブスクリプションを利用していれば利用可能です。 なお、無料利用に対応するデバイスでもすべての機能は使えません。また、無料で使えるExcelは非商用利用に限られます。仕事で使うならOffice 365の導入はマストです。

Excelをより快適に使うおすすめの方法

今回は、Excelの基本的な使い方ではなく、狭い画面で少しでも快適に使う方法を中心に紹介していきます。なお、本記事ではスマホやタブレット向けのExcelをまとめて「モバイル版Excel」と表記します。

キーボードを切り替えて使う

モバイル版Excelでは、キーボードを切り替えて使うのがポイントです。ワークシートをダブルタップすると編集できるモードに切り替わり、今まで表示されていなかったキーボードが画面下に表示されます。 普段使っているおなじみのキーボードが表示されるわけですが、このキーボードで入力を切り替えて数値を入力するのはおすすめしません。キーボード上に表示されるExcelのメニューで、キーボードのアイコンをタップします。よく見ると、この時点でアイコンには小さな数字が「123」と表示されています。これは、モバイル版Excelのオリジナルキーボードなのです。 このキーボードを使うと、数値や式の入力が簡単になります。式を入力する際に使う「=」やカッコも大きなキーで打ちやすいのが特徴です。

セルをダブルタップすると編集モードになりキーボードが表示される

キーボードの左下の「あa1」をタップして数値に切り替えるのが一般的な使い方だ

画面上メニューの左から2番目をタップして、このExcel専用のキーボードを利用するのがおすすめ

横画面では入力しないのが正解

スマホでは、画面の縦横を切り替えて表示できます。もし横表示にできない場合は、Excelの問題ではなくスマホの自動回転がオフになっているためです。 パソコンのExcelで作成した表は、かなり大きなサイズになるのが一般的です。また、横に伸びている表と縦に伸びている表があります。どちらにしろ、スマホで使うと画面が狭く感じるでしょう。縦横を切り替えても表は一気に表示できないので、ピンチ操作で縮小拡大しながら使うのがおすすめです。

表は縦横を切り替えつつ、ピンチ操作で縮小拡大を調整すると見やすい 表を見るだけなら、縦横の切り替えとピンチ操作でかなり自由に調整できます。問題は、文字や数値を入力する際の画面の狭さです。本体を横にしてスクリーンキーボードを表示すると、画面の半分以上が隠れてしまいます。 最近のスマホは、多くのモデルがより細長くなっているために、その傾向が強くなっています。つまり、縦で表示した際には、キーボードで作業しても、ある程度は実用的です。ところが、横表示でキーボードを利用すると、そもそもの表示エリアが狭すぎて実用性が低いのです。 このジレンマを解決するためには、表示は縦横で使い分け、入力は縦表示に絞って使うのが正解です。

縦表示なら、スクリーンキーボードを利用してもさほど邪魔には感じない

横表示にするとキーボードが場所を取りすぎて、実用性が落ちてしまう

外付けキーボードを利用する

スクリーンキーボードを表示しなければ、画面を最大限利用可能です。そこでおすすめなのが外付けのキーボードです。iPadにはアップル純正のSmart Keyboardを利用するとよいでしょう。 また、市販のBluetoothキーボードを利用しても作業効率はずいぶん向上します。さらに、テンキーを組み合わせて使うのもおすすめです。Excelでは数値を入力することが多いので、アルファベッドキーだけでなく、テンキーを使って電卓のようにタイピングすると非常に便利です。 「Smart Keyboard+Bluetoothテンキー」あるいは「一般的なBluetoothキーボード+Bluetoothテンキー」といった組み合わせも可能です。つまり、2台のキーボードを同時にペアリングして使うわけです。 普段はテンキーの付いていないキーボードを利用し、Excelで入力するときにだけテンキーを組み合わせても良いでしょう。また、机上で使うことが多いなら、テンキー付きのBluetoothキーボードを選ぶのも便利です。

外付けのBluetoothキーボードを使うと画面を横にしてもキーが邪魔にならない

iPadには、テンキー付きの外付けキーボードを使うのもおすすめ。もちろんスマホでも利用可能だが、大きさのバランスがそぐわない

Bluetoothキーボードに加え、Bluetooth接続のテンキーを併用できる

Smart KeyboardとBluetoothテンキーを組み合わせて使うことも可能

ショートカットキーを活用しよう

Excelに外付けキーボードを利用するなら、ショートカットキーを使うと便利です。コピー/貼り付けは「Ctrl+C」「Ctrl+V」という、パソコンと同じショートカットキーが利用できます。AppleやMac向けのキーボードでは、それぞれCtrlキーではなくCmdキーになります。 また、1つ上のセルと同じ内容を入力するには、「Ctrl+D」を押します。 タップによる選択がしづらいと思ったら、選択を開始するセルをタップして選んだあとで、Shift+矢印キーで選択できます。 パソコンに比べるとショートカットキーの数や種類が少ないのですが、使っていくことで少しでも効率化できます。

たとえば範囲指定は、Shift+矢印キーを利用すると快適

ファイルの利用はOneDriveがおすすめ

スマホやタブレットでExcelを利用するからには、パソコンと連携するのが一般的です。基本的にはパソコンで新しい表やグラフを作成し、スマホやタブレットでは閲覧したり、ちょっと編集したりする程度が現実的な使い方になります。 そんな時には、OneDriveを使ってファイルのやりとりをするのがおすすめです。パソコンで作業したファイルが、「最近の項目」としてスマホからも一発で開けるのです。スマホやタブレットで内容を編集して終了すれば、OneDrive上のファイルは自動で書き換えられるので、パソコンでも同様に開けばOKです。 もちろん、パソコンやスマホ・タブレットのOneDriveのアプリから各種フォルダを開いて、Excelファイルを編集することも可能です。そこはマイクロソフト製だけあって、最も手間がかからず、作業性が良いのがOneDriveというわけです。

モバイル版Excelでファイルを開くと、まずOneDriveで最近使ったワークシートが表示される

パソコンでも同じファイルが表示されるのでとても使いやすい

まとめ

スマホは画面が狭いために「Excelは使えない」と思っている人が少なくありません。しかし、画面が狭いことを承知の上で工夫していくことで、少しずつ使いやすくなります。パソコンを持ち歩かなくても仕事の表やグラフが扱えるのはとても楽です。 タブレットならスマホよりは使いやすいでしょう。それでも、外付けキーボードを使うなど、ちょっとした工夫がおすすめです。 構成・文:戸田覚 編集:アプリオ編集部

Excel                          5       - 1Excel                          5       - 59