これまでは主にSIMフリーモデルを提供していた同社ですが、HUAWEI P20 ProはNTTドコモ専売となっており、10万3680円(新規一括)と最上位モデルらしいプライス。果たして価格なりの価値があるのでしょうか。また、カメラ性能はどれほど優れているのでしょうか。 本記事では、購入を検討中のユーザーがチェックしておきたいポイントと併せて、HUAWEI P20 Proをレビューしていきます。 SIMフリーの高性能モデル「HUAWEI P20」レビュー、P20 ProやZenFone 5との比較も
6.1インチと大画面ながらコンパクトな本体
HUAWEI P20 Proは、最上位モデルらしくディスプレイは大画面の6.1インチです。iPhone 8 Plusシリーズでさえ5.5インチなので、数字を見ると相当に大きく感じますが、同じように比較するのは間違っています。最近のスマホは、縦横比が変化してより細長くなっています。つまり、数値では大画面でもスリムで持ちやすいのです。 本体サイズをiPhone 8 Plusと比較してみましょう。 なんと、5.5インチのiPhone 8 Plusよりも少しコンパクトなのです。実物を手にしても、さほど持ちづらいとは感じないでしょう。もちろん、iPhone 8などと比べると大ぶりですが、ディスプレイサイズの割には持ちやすく、大きなケースなどを付けなければポケットにも余裕で収まります。
HUAWEI P20 ProはNTTドコモから発売される
最近増えている画面が細長いタイプのモデル。写真ではわかりづらいのだが、画面上部はレンズの部分が切り欠きになっている
非常に質感のよいミラー仕上げ
今回はミッドナイトブルーのモデルをレビューしていますが、他にもブラックモデルが用意されています。背面はガラスでミラー仕上げになっており、最近のトレンドで同様の仕上げはよく見られます。ボディサイドの金属部分も若干青っぽい仕上げになっており、とても高級感があります。 背面はおそらくガラスの裏側からフィルムを蒸着していると思われますが、じっくりと見ていくと、曲線部分のミラーがごく微妙にザラついているのがやや残念です。これは個体差かもしれませんが、最上位モデルだけに美しく完璧な仕上げを期待したいところです。液晶面のガラスも2.5Dと呼ばれる、縁(フチ)がアールを描くタイプを採用しています。こちらも高級モデルでは一般的になりました。 本体は、全体におだやかなアールを描いており、手によくなじみます。両面がガラスのため、手が乾燥していると滑って落とす危険性があり、ケースに入れて使うことをおすすめします。標準でクリアタイプのケースが付いてくるので、それを利用してもよいでしょう。なお、防水対応なので安心して使えます。
背面はミラー仕上げのガラス
光が当たると美しく輝く。おサイフケータイのマークもひっそりと付いている
本体は薄くスリムで非常にスタイリッシュだ
有機ELディスプレイの画質は良好
ディスプレイは、こちらも上位モデルでは一般的になってきた有機ELを採用しています。非常に明るく鮮やかで、液晶とは一線を画する高い付加価値となっています。特に黒の締まりがよいので、ウェブページなどを読んでいても文字がくっきりしてます。また、写真を表示しても非常に鮮やかで、この点は液晶とは比較になりません。 同じ有機ELを採用するiPhone Xと比較すると、若干ながら明るさで及ばないのが残念なところです。もっとも、常に最高輝度で使うケースは少ないので、十分な明るさだと言えるでしょう。 インカメラを搭載している部分の切り欠き(ノッチ)は、設定メニューで隠して黒帯にすることもできます。しかし、せっかくの大画面ディスプレイなのですから、気にせずに使うことをおすすめします。指紋センサーは液晶の下に搭載し、他にも顔認証に対応します。
iPhone X(右)と比べるとやや明るさが劣っている
斜めから見てもやや明るさで劣るが、両方とも有機ELなので液晶よりははるかに美しい
設定画面でノッチを隠すことができる
イヤホンジャックもmicroSDカードも使えない
HUAWEI P20 Proはおサイフケータイに対応しています。これまでHUAWEIの上位モデルは非常に魅力的でしたが、おサイフケータイが使えませんでした。今回はNTTドコモからの発売のため、SIMフリースマホには関心のないユーザーも多くが購入の選択肢に入れるでしょう。 また、最近トレンドになっているハイレゾにも対応します。ただし、ワイヤレス充電とワンセグには非対応のため、購入前に十分納得してから決断してください。あと2年もすると東京でオリンピックが開催されます。スマホでテレビのリアルタイム視聴ができず、残念な思いをするかもしれません。 microSDカードで容量を増設できませんが、内蔵ストレージは128GBもあり、普通に使うには十分です。標準でmicroSDカードリーダーを付属するため、他のモデルから乗り換える際にもあまり困ることはないでしょう。 困るとすれば、イヤホンジャックがないことです。USB-C接続のイヤホンと、USB-C端子につなぐアダプターは付いてきますが、充電しながらイヤホンを使うことはできません。ワイヤレスのBluetoothイヤホンはもちろん使えますが、充電が面倒に感じるなど人によっては好みでないこともあります。この2点もよく確認しておきたいところです。
nanoSIMを1枚セットできる
USB-C接続のmicroSDカードリーダーが付属するため、データの転送は可能だ
イヤホンジャックの変換アダプターが付属する
付属のイヤホンもUSB-C接続だ
カメラ性能は確かに頭一つ抜けている
Leica(ライカ)ブランドのトリプルカメラを採用するのが最大の特徴です。デュアルカメラでも先陣を切ったHUAWEIだけに、3つのカメラもいち早く搭載しています。 本体を立ててみると、上から800万画素のズームレンズ、4000万画素カラーレンズ、2000万画素のモノクロレンズとなっています。この3つのカメラにAIを組み合わせることで、さまざまな撮影に対応します。すべての機能はとてもここでは書ききれないので、ポイントになる部分を抑えていきましょう。 普段の撮影は40Mの解像度を使うことになります。非常にクリアで美しく撮れます。ただし、ズームを利用する場合には、10Mに落とさないと撮影できません。3倍の光学ズーム、5倍のハイブリッドズーム、10倍の光学ズームが利用可能ですが、画像の荒れを考えると5倍ズームまでがおすすめです。 夜景モードでは、手ぶれ補正を生かして6秒の長時間露光が可能です。とても明るい月夜のような美し写真が撮れます。 写真の画質にこだわる人でも、普通に撮影してとても美しいと感動するでしょう。最近はカメラにこだわったスマホが多く登場していますが、頭一つ抜けています。とはいえ、写真にさほどこだわりがなく、iPhone 7あたりで「十分に美しい」と感じるユーザーには、大きなメリットは感じられないかもしれません。
HUAWEI P20 Proで撮影
iPhone X(下)と比較しても、さほど美しく感じないかもしれない。しかし、拡大すると地面の砂粒までくっきり写し出すHUAWEI P20 Pro(上)は驚異的だ
花を近くから撮ると、ボケ方もずいぶん違う。HUAWEI P20 Pro(左)のほうが一段と美しく撮れている
通常撮影で撮影
3倍ズームで撮影
5倍ズームで撮影。5倍ズームでもくっきりととても美しく撮れている
夜景を撮影。iPhone X(右)も美しいが、右上のビルなどをよく見るとノイズ感がまったく違う
AIが被写体を判断して「草木」などのモードが表示される
背景ぼかしも効果を調整できる
まとめ
CPUはメーカー独自のHUAWEI Kirin970 を採用しています。メモリは6GBで、ベンチマークを計測しても性能は文句なしです。Android 8.1を搭載し、これなら末永く快適に使えるはずです。
ベンチマークを計測しても文句なしの値だ カメラはライバルを引き離すほど美しく、HUAWEI P20 Proの存在は大きな話題になっています。当然おすすめできるモデルですが、この価格帯ならiPhone Xを含め、他にも上位機をいろいろと選べます。カメラは確かに優れていますが、上述のように写真にこだわっていないと違いが感じづらいかもしれません。逆に言えば、写真にこだわっているユーザーにこそ、おすすめしたいモデルです。 NTTドコモから登場したことによって、通信料金と組み合わせて月々の分割(割引)で買えるのも魅力です。ただし、SIMフリーモデルを安価な通信料金(格安SIM)で使おうと思っていた人には、ちょっと残念な販売方法かもしれません。 構成・文:戸田覚 編集:アプリオ編集部