2020年も春夏モデルのスマホが大挙登場しました。AQUOSシリーズの上位モデルにあたる「AQUOS R5G」は、高性能なCPUに3つのカメラを搭載し、8K動画の撮影にも対応します。まさに、ハイエンドモデルらしい構成となっています。 発売はNTTドコモ、ソフトバンク、auから。今回はソフトバンク版をレビューします。価格はソフトバンクでは一括で12万9600円となります。トクするサポートを利用すると、月々2700円の24回払いで購入できます。 なお、第5世代移動通信システム(5G)に対応しているのが今シーズンのポイントですが、5Gに関しては下記記事を参照してください。 「5G」を実際にスマホで使ってみた──最も恩恵を感じた用途、意外な落とし穴とは?

本体サイズは大きめだが扱いやすい

ディスプレイは、6.5インチの大画面モデルです。本体も大きめで、サイズ的にはiPhone 11Pro Maxと同じくらいだと考えればよいでしょう。画面が広いのでウェブページやビデオが観やすい反面、ポケットの中で場所を取ります。また、手に持っても結構な大きさなので、片手での入力は慣れないと厳しいでしょう。もちろん、サイズは好みによって評価が分かれます。 面白いのが、画面の下に指紋センサーとホームボタンを搭載していることです。昔は多くのモデルが採用していましたが、最近はほとんど見かけなくなりました。指紋センサーは画面に内蔵するか、背面に配置する製品が多くなっています。これは狭額縁を突き詰めるためでです。AQUOS R5Gは、使い勝手を重視して本体正面に残していることがわかります。なお、フロントカメラはピンホールタイプなので、あまり目立ちません。 また、イヤホン端子を搭載し、microSDカードによるストレージの増設に対応するのも使い勝手を重視している証でしょう。

本体下に指紋センサーを兼用するホームボタンを搭載

イヤホン端子も搭載する

性能は文句なしでテキパキ動作、放熱設計にも優れる

CPUは最新で最高性能のSnapdragon 865 5Gを搭載します。今シーズンの最高スペックなので、テキパキと快適に操作できます。ストレージ(ROM)は256GBの大容量で、UFS3.0に対応します。これは、高速な書き込みに対応する規格です。メモリ(RAM)も12GBと、文句なしの構成です。 さらに、シャープは放熱設計にこだわっています。ゲームなどを長時間プレイしても、加熱しづらいために、処理速度が落ちにくくなっています。ベンチマークテストなどをおこなっていると、全体がほんのり暖かくなります。CPU付近の加熱がうまく防げているという証です。

ベンチマークのスコアがずば抜けているわけではないが、性能は上々

ディスプレイは液晶(Pro IGZO)を採用する

ディスプレイは3168×1440ドットのPro IGZOを採用します。10億色の色表現に対応し、非常に美しいと感じることでしょう。AQUOS史上最高輝度の1000cd/m2に対応し、さらに、暗いシーンではバックライトの輝度を調整して電力消費を抑えています。120Hz駆動の倍速表示にも対応するので、残像感が少ないのも嬉しいところです。 とはいえ、iPhone 11Pro Maxと比較すると、コントラストがやや低いように感じられます。やはり有機ELと比べると黒のキレが明らかに違います。また、斜めから見たときの明るさが落ちるのも残念なポイントです。 バッテリー容量は3730mAhとなっています。最近は4000〜5000mAhの大容量バッテリーを搭載する製品が増えているので、やや見劣りします。たとえば、Galaxy S20は4000mAh、Galaxy S20+は4500mAhとなります。

右のiPhone 11Pro Maxと比べるとくっきり感が随分違う

横から見るとやや暗く感じるのが残念だ

充電はUSB-C端子でおこなう

カメラは標準・望遠・超広角・ToFの4つを搭載

AQUOS R5Gのカメラは、1220万画素の標準、1220万画素の望遠、4800万画素の超広角と3つ搭載しています。さらに、距離計測のToFカメラを入れて合計4つになります。 実際に撮影してみたところ、どのカメラも非常に美しく撮れました。ただ、オートで撮影していると、0.7倍の超広角から7.7倍ズームまでスライドで調整できるのですが、どのカメラを使っているのかがよくわかりません。ぴったり1倍で撮影しようと思うと、スライダーを動かすのが少々大変です。 AQUOSシリーズは、超広角の周囲が歪むのが残念でしたが、そこはしっかりと修正されました。歪みの専用調整機能があり、手動で歪み具合を調整できます。これは、他社にはほとんど見られない便利な機能です。 今回は、iPhone 11Pro Maxと比較してみましたが、どちらも十分に美しく撮れました。撮影したのが曇りの日だったので、やや暗く感じる写真もありますが、そこは明るさ調整で対応できます。超広角は、35ミリ焦点距離相当で、iPhone 11Pro Maxが14ミリ、AQUOS R5Gが19ミリとなっています。AQUOS R5Gは、もう少し広く撮れてほしいと感じる人もいるかもしれません。

カメラは3つで、上から望遠、超広角、標準、一番下は距離計測のためのToFカメラだ

フロントカメラはピンホール

標準撮影

標準カメラの撮影はどちらも合格でしょう。

広角撮影

AQUOS R5Gが暗いのは調整で解消できます。撮れる範囲の違いに注目してください。

ズーム撮影

2倍ズームで撮影しました。こちらもどちらも美しく撮れています。

8Kビデオの撮影に対応、背景ぼかし動画も楽しい

AQUOS R5Gの特長の一つが、8Kビデオの撮影に対応することでしょう。通常のカメラでは静止画と動画を切り替えて撮影できます。8Kビデオは独立したメニューで撮影します。 4800万画素の超広角カメラで撮影をおこない、解像度は7680×4320ドット。12秒ほどの動画で、100MBを超えたのには驚かされます。多くのユーザーにとって、ここまでの高解像度は不要でしょう。AQUOS R5G上で見るとしても、高解像度の恩恵はほとんどありません。

左:対応する動画サイズ。このほかに別のカメラで8Kを撮れる右:フォーカス再生で自動的に電車の部分を拡大再生してくれた ただし「フォーカス再生」を利用すると、自動的に注目ポイントを拡大してくれます。AQUOS R5Gの画面上で拡大しても粗くならないのが8Kのいいところです。8K対応のテレビを持っている人にはとても嬉しい機能ですが、普及はまだ少し先になるでしょう。 4K動画は、60fpsに対応します。スマホやパソコンで見ても、8Kビデオより美しく感じるでしょう。また、ToFカメラを搭載したことで、動画の背景をぼかせるようになりました。やや処理が甘い点はありますが、気分で使ってみてもよいでしょう。 普通に再生すると8Kの恩恵はほとんど感じられない 動画の背景をぼかして撮影できる。周囲や背景などがうまく処理できない部分もあるが、楽しい機能だ

まとめ

AQUOS R5Gは、ハイエンドスマートフォンとして順当に進化したと言えるでしょう。スペックは最上で、ストレージが256GBなのも文句なしのポイントです。広角の周囲が歪んだカメラの弱点も解消され、魅力的な1台となっています。放熱設計も素晴らしいのでゲームを頻繁に楽しむ人にもおすすめです。 いち早く5Gに対応してリリースされましたが、対応するのはサブ6に限られ、ミリ波には非対応となっています。 構成・文:戸田覚 編集:アプリオ編集部